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ストーカー


 
[監督] アンドレイ・タルコフスキー [脚本] ストルガツキー兄弟
1979年 / 164分 / ソビエト連邦

[ストーリー]
ある地域で原因不明の「何か(隕石が落ちたとも言われている)」が起こり、多数の住民が犠牲になった。政府はそこに軍隊を派遣するが誰一人帰ってくることがなかった為、その場所を「ゾーン」と名づけて立ち入り禁止区域とした。しかし次第にゾーンには「願いが叶う部屋がある」と人々の間で噂されるようになり、厳重な警備を潜って希望者を「ゾーン」に案内する者が誕生した。人はその案内人を「ストーカー(密猟者)」と呼んだ。

ある日、 ストーカーのところへ二人の男が「部屋に連れて行ってほしい」とやってくる。二人の男は名を名乗らず、それぞれが関わっている仕事から「教授」「作家」と 呼んでくれればいいと言うのだった。ストーカーは「誰でもそこに辿り着けるわけではありませんし、私に出来るのは道案内だけです。また私が言うことには必ず従ってください。そうしないと誰も戻ってこれなくなります」とだけ口にすると、一緒に行くことを彼らに約束した。

ゾーンとは?部屋とは?辿り着ける条件とは?
彼等は望みを叶えることが出来るのだろうか?
 


この映画は冒頭でひとつの「逸話」が提示される。
「逸話」は道先案内人であるストーカーの先輩の話だった。

「俺の先輩でヤマアラシという名前のストーカーがいた。そいつはゾーンの部屋に辿り着いて願い事を口にすることが出来たんだ。そして町に帰ると彼は大金持ちになった。しかし、彼は一週間後に自殺したのさ」

この話の中にある「矛盾」。
その答えがこの映画の「テーマ」と言っても差し支えはないし、どうしてその「矛盾」が生まれたのかを知りたければ、ストーカーに着いて行くしかない。


「ストーカー」、この作品はSFというジャンルに含まれる作品だけど、エイリアンも、メカも、特撮シーンも出てきません。あるのは原っぱと廃墟。その中を男三人が「部屋」 に向かって歩く。たったそれだけなのに「そこに何か在る」と観ている側に想像させるのは、余分なものがそこにないからだろう。日頃過剰なものに慣れたおれ達からすれば、それは「何もなさすぎる」と映るかもしれないけど、本当に必要なものというのはそんなに多くないのだと思う。

おれはこの映画を最後まで観るのには、時間が掛かりました。
この映画の時間164分が退屈に感じて途中で観るのを止めたというのではなく、知らない間に眠ってしまう。たぶんその理由は、タルコフスキーが表現する心地よい音と寂寥たる風景をスローなカメラワークで捉えていく映像詩のせいだろう。特に彼がその映像の中に取り入れる音に尖った音は少なく、どこか人の気持ちを安心させる輪郭の丸い音が多い。それらが観ているものの意識をシーンの中に没入させ、睡眠へと誘う。まるでまどろみながら水面を漂っているかのような感覚だ。

この作品の中で彼は登場人物達をゾーンの中の部屋へと向かわせた。それは意識という表層心理から無意識という深層心理へと向かう旅でもあったようにも思う。彼は人が生まれついてから今までに身に纏ってきた「綺麗事」を旅の中でどんどん削ぎ落とし、最後に残ったものが「真実」だと突きつけてきます。その自分でも意識出来ないような深いところにあるものは恐ろしかったり認めたくないものだけど、登場人物を含めたおれ達は「そうじゃない」とは言い切れない。だって人の無意識の底に横たわる願望というのは自分では自覚出来ないものだからね。

「ストーカー」、この作品で彼は容赦なく「絶望」を描いているけど「希望」も描いています。そしてその希望を存在させる場所、それが素晴らしい!じゃ、彼はどこにそれを寄り添わせたか?「リアリズムの在る所」になんですね。だからこの話は救われるし、語り継がれる作品なんだろうと思います。

たまには普段の自分が意識していない心の底に石を投げ入れ、静かな波紋を起こしてくれるような作品を観るのもいいかも知れません。オススメです ^^b

*wikiをみると上の方に書いた「ヤマアラシの話」とこの映画の肝の部分が具体的に載ってます。要注意。


 
[ ネタバレ & 少し考えてみた ]
 

よくこの映画は難解なストーリーとかって紹介されているし、おれも「ちゃんと理解したのか?」って聞かれると「自分なりに納得することは出来た」としか言えない。しかもその結末の解釈は間を置いて観るたびに少しずつ違ったものになるし、まだ回収しきれていないイメージもある。それが正直な感想。タルコフスキーの映画の場合、セリフよりも映像でなにを表現しようとしているのかの方に興味がいくんだけど、下にいくつかの部分をおれが受け取った解釈と一緒に書いてみた。ちょっと恥ずかしいけどね・・・。

●セピア色とカラーの使い分け

色の使い分け、これは多分「希望」を意味している。
この映画に登場する三人にとってゾーンの外は希望も何もない褪せた世界、だからセピア色。そしてそんな彼らがゾーンに入ると画面がカラーになる。これはゾーンの中の「部屋へ行けば願いが叶う」という「希望」が彼らにあるからだ。


●水面下にあるモノがクローズアップされる場面

この場面はゾーンの中だから基本的にカラーなんだけど、水浸しの原っぱに三人が寝そべって午睡に浸っている時、この時だけはセピア色になってる。この部分はさっき書いた部分と色の使い方が違うと思うから、説明をこっちに書くことにした。

映像はセピア色。

登場人物の三人は寝転んで午睡というか「まどろんでいる」状態。
つまり「意識と無意識の間を彷徨っている」状態って感じかな?そしてその時に画面に映るのが「銃」「コイン」「注射器」「神様の絵」「何匹かの魚」それらが水面越しに映っている。

それらを材料に考えると、これは人の深層心理なんじゃないのか?とおれは思った。どうして深層心理なのかというと、見てる側と映している被写体の間に「水」があるからだ。その水、それが表層心理と深層心理の境目、そういうことじゃないだろうか。だからここでの色の使い分けは「表層心理がセピア色」で「深層心理がカラー」ということになる。勿論、実際にこのシーンではカラーで表現されていないけど、恐らく水面下にカメラが入るとそこはカラーとして映し出されると思う。

以上のことを纏めると、人は - 例えどんな聖人君主であっても - 精神の深いところでは、もっとお金が欲しい(コイン)、病気になりたくない(注射器)、なにかに縋りたい(神様の絵)、何かを破壊したい(銃)、群れていたい(魚)という普段表面には出さない願望を誰しもが持っているということになる。


●タルコフスキーはこの映画の主な登場人物として作家、教授、ストーカーを登場させているんだけど、これは作家→文化、教授→科学、ストーカー→信仰として描くことで、それぞれの立場からの意見を語らせている。


●ただひとつだけどうしても判らないことがある。

ちょくちょく出てくる黒い犬。こいつが判らない。
この犬、カラーの時もセピア色の時も両方出てくるんだよね・・・。
セピアとカラー、その両方の場面で感じる心象を象徴していると思うんだけど・・・うーむ、難しく考えすぎなんかなぁ。簡単に考えたら「死」なんだけどなぁ。でも「死神」ではないよ?

だけどちゃんと最後まで観れば、ある程度の納得は出来るような答えをタルコフスキーは用意してくれてます。あとはそれらをどう解釈するか?
それを考えるのが楽しい、余韻を残す映画です。



[ 原作について ]


映画はストルガツキー兄弟が1977年に書いた原作を元にしていますが、作中の第四章が色濃く反映されているのが映画「ストーカー」です。こちらの原作は文庫で273ページで、その内容は映画とは少し趣が異なるけど映画を楽しめたのであれば十分楽しめると思います。
 

 
[ DVD ]
 

今、発売されているDVDもいいんだけど、特典映像に字幕がないから未だに買うのを迷う。おまけにパッケージもなんかホラー映画ってぽい感じでイマイチ。特典そのものは凄く魅力的なんだけどね。

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この作品、面白そう~じゃないですかぁ~♪
さすがにネットでは日本語でるやつ、なさそうですねぇ。
レンタルショップ行って今度見てこようかなぁw

謎が多いんだけど、見ていくと何を言いたいのかが徐々に見えてくるストーリーって、ひきつけられるんですよね~。

監督の技術というか腕がまさに必要不可欠な難しい映画だと思います。
特に、ある程度古い映画というとVFXなんて有りませんしねw


見る側は簡単ではあるけれど、面白いですよね、見た人によっても感想などが変わってくるっていう映画。
見たことが無い映画や本のコメンテーターには太郎さんもってこいだね。
なんっていうかなぁ、「じゃぁ面白そうだから今度見てみよう」って気にさせるw
(ある意味、見る側が簡単と書いたけど、わかり易いように見せてるっていう監督の力量があっての私見ですw)

こんな作品、しらなかった。

作った人(原作やら監督やら)と、紹介してくれた太郎さんに感謝~♪

こんばんちっ!

>レンタルショップ行って今度見てこようかなぁ

おっと、この作品が気になってるみたいですねー。
これは、いいですよ^^b
ただ残念ながらなぜか吹き替えが入ってるバージョンってないみたいなんです。だから字幕・・・。でも字幕は岡枝さんだから、しっかり翻訳してくれてますよ。やっぱりこの人の翻訳はうまいです。

この監督の作品ってさ、世界中でリスペクトされまくりなのに、全然DVDにしてもキッチリしたのが出ていない・・・。吹き替えがないならないで再収録してくれたら、いいのにって思う。

>特に、ある程度古い映画というとVFXなんて有りませんしね

うんうん、特にこの監督は特撮っていうのはマズ使わない人かなぁ。作家でいうとレイ・ブラッドベリ(「たんぽぽのお酒」とかが有名)みたいな人で、ファンタジーとSFの間の表現が好きみたい。あと、特に水の表現には結構メッセージ性持たせてるから、それはそれで考えてみると楽しいかも。

>「じゃぁ面白そうだから今度見てみよう」って気に

うーむぅ、それで楽しい時間が過ごせたらいいけど、ちょっと・・・ってなったらダメじゃんね、おれ ><

ただこの人の作品はどの作品も眠気を誘うから、たっぷり寝てからの方が、いいかもよ~ ^^ノ

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