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8人の女たち

2002年/111分/フランス
監督 フランソワ・オゾン

出演 ダニエル・ダリュー、カトリーヌ・ドヌーヴ、ヴィルジニー・ルドワイヤン、ファニー・アルダン、エマニュエル・ベアール、イザベル・ユペール、リュディヴィーヌ・サニエ、フィルミーヌ・リシャール

[ストーリー]
1950年代のフランス。クリスマスを祝おうと家族が集まるのだけど、家の主マルセルだけがその姿を見せなかった。心配になった家族が彼の部屋を訪ねるとマルセルはベッドの上で倒れており、背中にはナイフが突き立っていた・・・。

家族は警察に連絡しようとするが電話は繋がらず、調べてみると電話線が切られていた。外部と連絡をつけようにも大雪で車を動かすことは出来ず、家から逃げ出すことも叶わない。おまけに昨夜から犬が吼えたりしていないことから「見知った人物の犯行なのか?!」と8人の女達は互いに相手を探り始めるが、どの女も人に言えない秘密を抱えていた・・・。

この映画は元々60年代にロベール・トーマが書いてヒッチコックが映画化しようとしてたらいしのだけど、2002年にフランソワ・オゾン監督によって映画化。 
 
確かこの映画は公開当時「ミュージカル・ミステリー」って紹介されてたと思うけど、雰囲気は昔からあるシットコム(シチュエーション・コメディー) 。そだなぁ、ビリー・ワイルダーが得意としてた手法といえば判りやすいかも知れません。日本だと三谷幸喜なんかがよくこの手法で作品作ってる。

この「8人の女たち」は「ミュージカル」として観るとガッカリすると思う。それよりも各登場人物に突然歌わせるタイミングなんかみていると「ミュージカル」よりも「コメディ」に比重があると思います。その歌い出す時も秘密がバラされてもう後がない時とか問い詰められた時に胸の内を明かすって感じで可笑しい。
 
登場人物
 1.マミー(ギャビーとオーギュスティーヌの母) / ダニエル・ダリュー
とっても優しいオバァちゃまだけど、実は・・・
 2.カトリーヌ(ギャビーの娘。次女) / リュディヴィーヌ・サニエ
恋に恋するお年頃だけど、実は・・・
 3.ギャビー(マルセルの妻) / カトリーヌ・ドヌーヴ
上流階級のシッカリ奥様だけど、実は・・・
 4.スゾン(ギャビーの娘。長女) / ヴィルジニー・ルドワイヤン
品行方正なお姉ちゃんだけど、実は・・・
 5.オーギュスティーヌ(ギャビーの妹) / イザベル・ユベール
読書家の堅物オールドミスだけど、実は・・・
 6.マダム・シャネル(メイド) / フィルミーヌ・リシャール
しっかりもののお手伝いさんだけど、実は・・・
 7.ルイーズ(メイド) / エマニュエル・ベアール
甲斐甲斐しく家事をしてるけど、実は・・・
 8.ピレット(マルセルの妹) / ファニー・アルダン
心配性の女なんだけど、実は・・・
もうね、全員胡散臭い・・・。
  
  

BGMはCoralie Clement「L'ombre et la lumière」
 
「8人の女」のキャストを見るとフランス映画史を時代時代で切り取ったかのような豪華すぎる面々。それだけでも十分話として楽しめるのに監督がフランソワ・オゾンとくれば、これは観るしかないでしょう。特にドヌーヴとアルダン、この2人が共演してるっていうのが嬉しいし、ダニエル・ダリューがまだ映画に出てたっていうのにはビックリしました。だってこの時で85歳だよ?!元気だよね~。

この映画、結構驚くシーンが多いんだけどカトリーヌ(次女)が歌う時にドヌーヴがバックダンサーとして踊っているとこ、これは真面目に驚きました。いくらウエストが昔の倍くらいになったからってドヌーヴがバックダンサーって贅沢すぎるよね。でもええ歳なのに踊ってるとこなんて、可愛いかったです。「カトリーヌ・ドヌーヴ」「ミュージカル」と言えば64年の「シェルブールの雨傘」が有名だけど、ああいうミュージカルの傑作に出ている人が、この映画で踊るとなれば比較もしちゃうのが人情。だけどこれはこれで楽しいし、その衰えぬ存在感(身体的なボリューム含む)がハンパないです。

ファニー・アルダン、彼女もよかった。シッカリしているのだか、頼りないのだかよく分からない猫科の女を妖艶に表現していて煙草がよく似合ってました。観るまではカトリーヌ・ドヌーヴとの競演でその存在感がどうなるのか心配でもあり楽しみでもありって感じだったけど、さすが経験豊富(←いろんな意味で)なベテラン女優。存在感も素晴らしいものがあり、ファンとしては嬉しゅう御座いました。彼女も古くからいろんな映画に出ている人だけど、最近だと「永遠のマリア・カラス」がよかった。もう彼女がマリア・カラスを演じた。ただそれだけで満足。

堅物のイザベル・ユベール、彼女がイメージ・チェンジして階段を下りてくるシーンもそれまでとギャップがありすぎて結構笑えました。なんか宝塚というか、パタリロというかそういう演出(笑)

しかしこれだけの俳優を揃えているにも関わらず、それぞれに個性と背景をキッチリ描いていてどの登場人物も中途半端になっていないのは、脚本のうまさもさることながら演出のセンスの良さだと思います。小粒でありながら、小気味のいい良作。8人の女優さん全てが賞を獲ったのも納得。

衣装
これは40~50年代のディオールのニュールックがかわいいし、舞台となる大邸宅もドールハウスのようなカラフルなセットで統一。照明も間接光を効果的に使ってるのもいい雰囲気を出していて、いい意味でセットらしいチープさを出すのに一役買っていました。しかし向こうの人って、幾ら映画の中だとしても、結構な年齢で派手な色使いや胸の開いたドレスを着ているっていうのが素晴らしいね。年齢関係なく「女を意識してる」というのは、いいことだと思うなぁ。その衣装なんかも「ギルダ」でのリタ・ヘイワース、「母の旅路」のラナ・ターナー、「荒馬と女」のマリリン・モンローなんかを再現してるのが古い映画が好きには嬉しいかも。

脚本
これは少しドギツクて、女のコワイ部分がかなり出てくる。最初はさ、みんな「余所行きのセリフ」を「余所行きの顔」で口にしてるんだけど身内によって少しずつ自分の知られたくない部分が暴露されていくと、皆開き直っちゃってドロドロした本音の部分をこれでもか!これでもかっ!!って口にするわ、そうなったらそうなったでもう「常に毒を持った言い方しかしなくなってくる」わで、もう大変だよコレ。この映画の中にあるのは「強い女」じゃなくて「したたかな女」の暴露話満載で、男からしたら実生活で一生聞きたくないような怖いセリフが多い。

あと印象的だったのが「幸せは勝ち取るもの」ってことを脚本から感じた。それは脚本を書いた監督自身が同性愛者だからっていう部分が結構影響しているんじゃないかなぁ。だっていくら認知度が広まったとはいっても人の偏見の壁は厚く、なかなかそこに理解を求めるのはいくら海外だとて難しいでしょう。確か90年代の映画だったと思ったけどアメリカ映画で「ポイズン」というのがあって、同性愛者の少年が同い年くらいの少年たちに唾を吐きかけられるシーンがあった。その彼を取り囲んだ少年達は最初は唾を吐く行為に戸惑うけど、誰かが口火を切ると次から次へと唾を吐きかけていく。でも主人公の少年はそれを拭う事もせず、じっと耐えているというシーンがあった。なんか見ていて「これが同性愛者の現実なんだ」と言っているかのように、おれには思えた。だから今回の考え方(幸せは勝ち取るもの)というのは、同性を愛した人達の「幸せへの渇望」なのかも知れないなぁ。

いろいろ書いたけどこの映画、最後のオチもブラックな味わいを効かせていてキレもよく、自分は楽しめました。

 

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